ガイドラインは絶対ではない?アパートの退去費用はどうなるの

2024年3月22日

賃貸物件を探す際に家賃を気にしない人はいないでしょう。
他にも家賃と同様に毎月払う場合が多い管理費や
初期費用の額を左右する敷金・礼金も多くの方は気にして
物件を探すと思います。

物件を探す際にはあまり気にされないのが退去時の費用ですが、
場合によってはかなりの額になることもあります。

国土交通省が出しているガイドラインでは、
退去時の修繕費用は、通常の使用や経年変化によるものを
貸主が負担し、借主の過失によるものを貸主が負担します。

多くの場合、年単位でその物件に住むでしょうから
経年変化が考慮され、退去時の修繕費用はそれほど高額にはなりません。

しかし、契約の際には、双方の同意のもとで、
特約を設けることができます。

特約は多くの場合、借主にガイドラインで定められている
負担以上のものを求めた内容ですので気をつけたいですね。

実際にあった!おかしな特約の例

これまでに賃貸契約をしたことのない方や、
運よく優良な不動産としか契約したことのない方は
いまいちピンとこないかもしれません。

実際に訴訟にまでなった特約の例を挙げてみます。
これは京都地方裁判所で平成16年3月16日に判決が
下された事件です。

借主は入居の際に敷金20万円を払っていました。
契約の際に、特約として、
「経年変化や通常の使用によって必要となった修繕にかかる
費用は借主負担とし、敷金は修繕費用を引いた分を
明け渡し後45日以内に返還する」
というものが交わされていました。

貸主は修繕に20万円かかったとして、敷金の返還に
一切応じませんでしたが、
裁判所は消費者契約法第10条に基づき、
貸主に敷金の全額返還を命じました。

この例の特約では、通常の使用によるものも
借主の負担となっていて貸主は負担しないことになっています。

経年変化や通常の使用によるものを修繕するのは
貸主の義務であり、その費用は家賃に含まれていると
されていますので、明らかに理不尽な特約です。

特約は絶対ではない

上記の例のように、契約書に書かれた特約であっても
無効となる場合があります。

国土交通省が出しているガイドラインでは、
特約が成立する条件として、下記があります。

ポイント

(1)特約の必要があり、かつ暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
(2)賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
(3)賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

契約書にサインしてしまうと、上記の2と3を
満たしていることになってしまうかもしれませんが、
1にあるようにその特約が必要である合理的な理由が
なければ特約として成立しません。

借主を守る?消費者契約法とは

先ほどの事例で、消費者契約法第10条というのが
出てきました。

賃貸トラブルでよく持ち出されるこの消費者契約法とは
一体どんな法律なのでしょうか。

消費者契約法は、平成13年4月1日に施行されました。
事業者と個人が契約を結ぶ際に、個人を守るものです。

参考

第10条では、
民法、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。との記載があります。

難しく書かれていてわかりにくいですが、
民法で定められていることと比べてむやみやたらに
借主に負担を強いるような特約は無効、という意味です。

例えば、借主がアイロンで畳を焦がしてしまった際に
張り替え費用を負担することは、民法でも認められていますが、
通常の使用しかしていないのにもかかわらず、
敷金から必ず一定額引く、もしくは返金しないなどの行為は、
一方的に借主の負担を増やしていることになり、
訴訟になると貸主はお金の返還を求められるでしょう。

不動産業界では、慣例としていろいろと貸主に有利な条件が
つけられていることが多いですが、
最近では訴訟になると貸主に返金を命じるケースが多いです。

むやみに訴訟を起こすのはおすすめできませんが、
法外な額を請求されそうになった場合などでは、
消費者契約法に助けを求めるのもいいかもしれません。

でもまずは契約の際に退去時のこともよく聞いて、
おかしな特約を認めないということが一番でしょう。

-荷物運搬の豆知識